副院長
当院では、妊婦中や授乳中のお母さんには、不必要にお薬はお出ししません。
ただし、ひどい痛みを我慢するストレスや化膿して腫れている状態を放置すると、かえってお腹の赤ちゃんやお母さんに悪い影響を与えてしまいますので、妊娠中や授乳中でも、必要に応じて産科担当医師と相談した上で、お薬をお出しします。
一般的に、歯科で処方される化膿止めの「セフェム系抗生剤」は、お腹の赤ちゃんや授乳中のお子さまへの移行が少ないとされ、痛み止めのアセトアミノフェンは、小児の鎮痛解熱剤としても使用されています。
コチラもあわせてご覧ください 妊娠中は、どんなことに気をつければ 良いの?
副院長
歯科医院で使用するレントゲン撮影機器には、
・2~3歯の範囲を部分的に撮影する「デンタルレントゲン写真」
・顎(あご)の全体を撮影する「パノラマレントゲン写真」
の2種類があります。
どちらも直接お腹にレントゲンが照射されることはありません。撮影部位がお腹から離れていますし、防護エプロンを着用してお腹周りを保護すれば、赤ちゃんへの影響はないとされています。
また、当院に設置されているデジタルレントゲン装置は、従来のレントゲン撮影に比べて防護エプロンを使用すると、レントゲン量は1/100程度に減弱され、限りなくゼロに近くすることが可能です。
診断や治療に必要な場合はレントゲン撮影を行いますが、心配な方は遠慮なく撮影を断っていただいて構いません。
*人が地球上で1 年間に浴びる自然放射線量(レントゲン写真は放射線で撮影します)は、日本で約2.3mSV(ミリシーベルト)です。デンタルレントゲンでは150枚以上、パノラマレントゲンでは100 枚撮影できる計算になります。
コチラもあわせてご覧ください 妊娠中は、どんなことに気をつければ 良いの?
副院長
歯の治療に関しては、妊娠初期・後期では、応急処置にとどめることがありますが、安定期(5~7ヶ月)に入っていて、産科担当医師にレントゲン・麻酔・投薬などの了解が得られれば、歯科治療を受けていただくことが可能です。
歯科治療に使用する麻酔(キシロカイン)は、通常の使用量であれば問題はなく、出産の際に痛分娩にも使用されています。
ただし、妊娠中は、やはり治療の制約があることも確かで、ホルモンバランスの変化によってムシ歯や歯肉炎になりやすいなど、口の中の環境もトラブルを抱えやすい時期でもありますので、日頃のケアに気をつけて、心配なことがあれば、早期に歯科医院を受診されることをおすすめします。
コチラもあわせてご覧ください 妊娠中は、どんなことに気をつければ 良いの?
副院長
【妊娠中のお口の管理は、特に注意が必要です!】
妊娠中は、ホルモンバランスの変化で歯周病菌が増えたり、唾液の量が減って口の中が乾きやすくなったりします。また、免疫力が落ちたりすると、ムシ歯や歯ぐきの炎症などのトラブルが起こりやすくなります。
これらに加えて、悪阻(つわり)がひどかったりすると、歯磨きの時間が短くなってしまったり、おなかの中の赤ちゃんが大きくなって胃が圧迫されるようになると、1回の食事量が減り、間食も多くなってしまいがちで、ムシ歯や歯ぐきの炎症は、ますます悪化しやすい状態になります。
最近の研究によると、妊娠中のお母さんの歯周病は、早産や低体重児出産などの可能性を高めることも指摘されていますので、妊娠中の方やこれから妊娠を考えている方は、特に日頃から口の中の管理に気をつけてください。
【妊娠中に自宅でできる簡単セルフケア】
◎食後に水分を補給する
口の中のムシ歯菌や歯周病菌などの増殖を抑えて、唾液が出やすくなります。
◎キシリトールやフッ素を活用する
キシリトールはフッ素の効果を助けます。このフッ素は、強い歯を作って再石灰化を助けます。
※キシリトールについては、コチラをご参照ください。
◎適度に運動し、リラックスする
妊娠中は免疫力が落ちてストレスにも弱くなりますので、適度な運動とリラックスした生活で、ストレスをためないようにしましょう! また、太陽の光に当ることで、体内でビタミンDが作られ、それによってカルシウムが多く吸収されるため、歯も強くなります。
【歯磨きを工夫する】
・つわりの時は、体調や気分の良いタイミングで磨きましょう
・のどの方にだ液がたまると吐き気をもよおすことがありますので、下を向いて磨きましょう
・ニオイに敏感になりますので、苦手な場合は、ハミガキ粉はつけずに磨きましょう
・のどに近い粘膜を刺激して吐き気をもよおすことがありますので、できるだけ小さな歯ブラシで、
こまめにうがいをしながら磨きましょう
妊娠中は、時期によって歯科治療の内容も制限されてしまうことがありますので、早めの対処と日頃のケアが大切です。