副院長
赤ちゃんは、お母さんのお腹の中にいる時から指を吸って、母乳を飲む練習をしています。小さい頃の指しゃぶりは、モノを飲んだり、食べたり、口に運んだりする練習で、成長過程のひとつですので、3歳くらいまでなら心配することはありません。
ただし、長い間、指しゃぶりをしていると、
・上顎前突(じょうがくぜんとつしょう)…上の前歯が指に押されて前へ出てくる症状
・開咬(かいこう)…奥歯で噛んでも上下の前歯に隙間ができる症状
・歯列狭窄(しれつきょうさく)…上の歯列が狭くなって歯並びが悪くなる症状
などが出てくることがありますので注意が必要です。
幼児の指しゃぶりには、赤ちゃんの頃の指しゃぶりがくせになって無意識でしているものや、不安や緊張を感じた時に、気分を落ち着かせるためにしていることがあるようです。
3歳~5歳になる頃には、幼稚園や保育園での外遊びや運動などエネルギーやストレスの発散場所が増えたり、集団生活を通じて広がっていく人間関係の中で、色々な経験をして「人に指しゃぶりをしているところを見られたら恥ずかしい」とか「部屋の中でひ、ひとりで指をしゃぶっているよりも、外で遊んだ方が楽しい」などの自覚が芽生える時期ですので、自発的に止めようとする子供も出てきます。
【指しゃぶりの対処方法】
・外遊び、ブロックあそび、積み木、おままごとなど、手を使う遊びをさせる
・指しゃぶりに気が付いたら手をつないであげたり、抱っこをして、さり気なく手を口にいかないようにする
・寝ている時に、手をつないであげる
手ぶくろや絆創膏を貼って、指しゃぶりができないようにする方法は、成功率が低く、また、叱ったり指を口から引き離したりすることは、一時的には成功しても、隠れて指しゃぶりをしたり、ストレスや罪悪感を子供が感じてしまいますので、あまり良い方法とはいえません。
親が焦れば焦るほど、子供には緊張感が伝わりますので、できるだけ穏やかな気持ちで、手をつないだり、抱っこをしたりしてスキンシップをはかって、声をかけたり、絵本を読んだり、遊びに誘ったり、話をしたりして気分転換させるなど、長い目で見守ってあげてください。
副院長
永久歯のたまご(歯胚)は、もともと乳歯の下の歯ぐきの中に埋まっていて、生え変わりの時期を、少しずつ成長しながら待っています。永久歯が大きくなるにしたがって乳歯の根が溶かされ(=吸収され)、グラグラして抜けるという仕組みです。
理想的な生え変わりは「乳歯の抜けた後を見ると、永久歯の頭が少し見える」という状態ですが、特に下の前歯の永久歯は、昇りエスカレーターのように、後ろから斜め前に出てくることが多いため、乳歯が抜けていないと重なるという状態が起こりやすいようです。
ほとんどの場合は、邪魔している乳歯が抜けてしまえば、永久歯は正しい歯並びの位置に自然と並びますのでご心配はいりません。
ただ、二枚刃のように歯が重なっている時期が長いと、歯磨きが困難になって永久歯に汚れが残る原因になるため「自然に抜けるのを待つべきなのか、早めに抜いた方が良いのか」を歯科医院にご相談されることをおすすめします。
また、乳歯に比べて永久歯は黄色みが強いため、白い乳歯と混在している時期に永久歯の黄色さをご心配される方もいらっしゃいますが、個人差はありますが、正常な状態ですのでご心配いりません。
副院長
【乳歯の歯並びについて】
2歳半から3歳になると、すべての乳歯が生えそろい、乳歯の歯並びが完成します。
乳歯の歯並びは、すき間がある方が、これから生えてくる大きな永久歯のために良いと言われています。
また、すき間が空いていた方が通気性が良いため、間に汚れが入っても取りやすく、虫歯になりにくいと
言われています。
現代っ子は顎が小さいと言われ、歯並びのきついお子様も多いのですが、特に第1乳臼歯・第2乳臼歯の
間(一番奥と2番目の間)がきつく、奥にあるため歯磨きも難しく虫歯ができやすい部分ですので、仕上げ磨きの時に注意していただき、デンタルフロスをお使いいただくことをお勧めします。
「デンタルフロス」は、歯と歯の間を磨くのに効果的です。
◎デンタルフロスの使い方
1. デンタルフロスを30cmくらいの長さに切って、左右の人差し指(もしくは中指に)巻き付け、1~2cmくらいの長さで固定します。
2. 歯と歯の間に、ゆっくりと前後させながら入れます。
3. 前後の歯の側面をこすりながら、2~3 回上下させて汚れをこすり取ります。
4.取りはずす時は、片方のデンタルフロスを指からはずして、横にそっと引き抜きます。
◎柄付きのフロスの使い方
歯と歯の間に、ゆっくりと前後させながら入れ、前後の歯の側面を2~3回、上下させて汚れをこすり取ります。
患者さんごとに、適した補助器具の種類やサイズなどが異なりますので、ご自身の口の中に合ったものを、歯科医師・歯科衛生士の指導のもと選んでいただくことをおすすめします。
副院長
仕上げ磨きをしっかりしなくては…という気持ちは大切です。
ただ、一生懸命になるあまり、怖い顔になってしまったり、ハブラシを持つ手にも力が入ってしまい、(お子様が)「怖い」、「痛い」、「気持ち悪い」と思ってしまって、なかなか上手に仕上げをさせてくれず、余計イヤイヤになってしまうことがあります。
【 仕上げ磨きのポイント】
◎優しくみがく
ハブラシはエンピツ持ちで、軽く磨く歯をなぞる感覚で!
◎上唇小帯や歯ぐきは反対の指でガード
口の中はやわらかいため、敏感なスジや歯ぐきは指で保護してあげましょう!
◎楽しく歌を歌いながら、お話をしながら
仕上げをしてあげるお母さんがニコニコ楽しくできるといいんです。必死の形相を、お子様は察します!
◎マネをさせてみる
歯磨きもスキンシップのひとつと考え、例えば、お子様に歯ブラシを渡して「ママの歯を磨いてくれる?」、「磨きっこしようね!」と声をかけたり、歯磨きが上手にできるお友達の仕上げ磨きをみせてもらうなど… 力まずに、どんどんコミュニケーションを図りましょう!
◎お風呂でハミガキ・うがいの練習
眠いと不機嫌になるのは子供も一緒です。お風呂でハミガキ、うがいの練習してみては?
◎ハミガキ粉は補助的な役割
ハミガキ粉の苦手なお子様には、無理に(ハミガキ粉は)使う必要はありません。
目的は汚れをハブラシで 落とすこと。
ハミガキ粉が原因で、歯磨きそのものが嫌いになってしまっては困ります。
また、ハミガキ粉を使えるお子様には、いろいろな香りつきのものがありますので、お気に入りのものや、日によって香りを替えて気分を変えるのも楽しいのではないでしょうか?
・1歳半~2歳半の頃は、歯磨きをイヤがる子供が多いこと
・眠い時は機嫌が悪くなること
上記を知っていただいて、力まずに長い目で見守り、日々工夫をしてあげてください。
必ずできるようになります。
副院長
「フッ素」は、ハミガキ粉に含まれていたり、歯科医院で塗布したりする医薬品です。
歯に塗って膜を作ることによって、歯に汚れがつかないようにすれば、虫歯菌から歯を守ることできるので、虫歯予防に大きく活躍しています。
このフッ素を長期間、定期的に使用することによって、次のような「ムシ歯予防」に効果があります。
◎歯の質を強くする
乳歯や生えたての歯は軟らかくて弱いので、フッ素によって表面を溶けにくい性質に改良できます。
◎歯の修復を促進する
フッ素は、食事の後にキズついた歯にカルシウムやリンを再沈着(再石灰化)させる働きがあり、歯の修復を促進します。
◎酸産生を抑える
酸産生とは、細菌が(歯を溶かす働きのある)酸を作ることです。フッ素は、ムシ歯菌の働きを弱めたり、ムシ歯菌が作りだす酸の量を抑えたりします。
【いつ頃から始めれば良いの?】
歯は、生えたての時期ほどフッ素をよく取り込むと言われています。下の前歯に乳歯が生えてくる6~7ヶ月頃からフッ素は可能です。
当院では、小さい頃から歯科医院に慣れていただくように、早い時期からのフッ素をお勧めしています。
フッ素はムシ歯予防に非常に効果的ですが、フッ素だけでは完全にムシ歯を予防することはできません。「正しい歯磨き」を毎日行うことや「食生活」にも気をつけましょう!