院長
【TCHとは】
歯を失う原因の70%が、重度の「ムシ歯」や「歯周病」と言われており、その他の原因として、ケガ、破折、矯正のための抜歯などがありますが、最近ではテレビやパソコンの普及、生活習慣の変化などによって、新たな問題も指摘されています。
そのひとつが「Tooth Contacting Habit:TCH」(歯列接触癖)というものです。これは、上下の歯を “持続的に” 接触させる、一種の「癖」のことです。
上下の歯の接触というと、一般的には、歯の「かみ締め」や「食いしばり」を連想される方が多いと思いますが、実際には「グッ」と強い力で歯をかみ締めたり食いしばったりするほかに、上下の歯が接触する程度でも、筋の緊張・疲労が生じるということもわかってきました。そして、長期間にわたってその癖が続くことによって、歯に横揺れが加わったり、すり減ったりすることで、歯の健康が害されるとも言われています。
【TCHの問題点】
上下の歯は、ふだん何もしていない時には接触せずに離れています。そして会話や食事などの時に接触する時間を含めても、(上下の歯が)接触しているのは 1日のうちで20分程度というのが正常な時間だと言われています。
しかし、この上下の歯の接触時間が長くなると、筋肉の緊張・疲労、歯や顎関節への負担が増えて、歯の消耗や顎関節症などにつながる恐れがあります。
【TCH対策】
TCHは、テレビを見ている時や長時間パソコンをしている時などに起こりやすいので、ふと気づいた時に、上下の歯が接触していないかどうかを確認して、もし接触していたら離したり、息を鼻から吸って口から吐く深呼吸でリラックスしたりするなど、日頃から、ちょっとした工夫をしていただくことが有効です。
【TCHは重大な問題?】
TCHであっても問題が出ないケースも数多くあります。したがって、特に歯に問題が出なければ、TCHはただの「癖」ですので、それほど気にする必要はありません。
ただし、顎(あご)の疲労感や歯の痛みなどに、TCHが影響している可能性もありますので、そのような症状が出る時には、歯科医院を受診されることをおすすめします。